コンテンツへスキップ

滝学園同窓会オフィシャルサイト

活躍する同窓生に学ぶ:浅井将雄氏(キャプラ 共同創業者)

Home / 活躍する卒業生 / 活躍する同窓生に学ぶ:浅井将雄氏(キャプラ 共同創業者)

活躍する同窓生に学ぶ:浅井将雄氏(キャプラ 共同創業者)


You’ll Never Walk Alone!
~決して君は一人じゃない~

キャプラ・インベストメント・マネジメント 共同創業者
浅井 将雄(將雄)(昭和60年卒)

滝学園同窓会ロンドン支部長

Capula Investment Management
https://www.capulaglobal.com/




イギリスのロンドンを拠点に、債券系のヘッジファンド、キャプラ・インベストメント・マネジメントの共同創業者、滝学園同窓会ロンドン支部長の浅井将雄さんにお話を伺います。

ヘッジファンドってどんなお仕事をされるのですか?
 ヘッジファンドは投資家から資金を預かり、多様な金融商品に投資して安定したリターンを狙う仕事です。リサーチや分析を基に投資判断を行い、リスクをヘッジしつつ運用します。
お客様から大きな資金を預かり、それを何倍にもレバレッジ(※1)をかけて運用します。高度な分析を駆使し、より負けにくい投資機会を探し出し、確率の極めて高い運用をします。私の会社 CAPULA INVESTMENT MANAGEMENT LLP では6兆円を上回る資金を投資家から受託しており、それを時に100兆円を大きく上回る規模にレバレッジを掛けながら、ダウンサイドコントロール(※2)をしてマイナスにならない運用を行っています。今や我々は世界の大手ヘッジファンドの一つとなり、そのため扱うリスクポジションも大きいため、リーマンショック(※3)やコロナ危機、最近ではトランプ関税(※4)ショックなど、相場が大きく動くときは、冷や汗をかき、時には鳥肌が立ちますが、とびきり優秀なたくさんの仲間たちと最新テクノロジーと最新金融技術を駆使し、難局を乗り切ってきました。アドレナリンが溢れる極めて刺激的な仕事です。

どんなきっかけでこのお仕事に就かれたのか、お聞かせください。
 学生時代はヘッジファンドをはじめ、運用業務は全く知らず、最初は都市銀行に入社し融資業務に従事していましたが、その時に、マーケットで運用経験のあった支店長に見出され、国際金融マーケットに銀行代表のような形で送り出されました。最初は為替相場のドル円のマーケット運用を任され、連日、急落するドルを叩きつけるように売り続けていました。そんな中、日本中のすべての金融機関が不良債権で経営危機に陥り、こうした運用業務で大きな収益を出す必要が出てきました。私もロンドンの銀行の現地法人で大きな運用を任され、そのまま同僚と独立し、今の会社を立ち上げ、ヘッジファンド運用者となりました。

キャプラのオフィスにて

いつ頃からグローバルな仕事をしようと考えられましたか?
 実は中高時代から最も英語が苦手で、大学時代も、社会人になっても、英語を使わない業務で一生働いていこうと強く望んでいました。まさか私が国際金融マーケットに出るなど、入社3年目時点では思いもしませんでした。英語は銀行時代にロンドンに赴任を命じられ、ギリギリまで追い詰められて身につけたものでした。もうロンドンで暮らして23年になりますし、会社も今やロンドンだけでなく、東京、ニューヨーク、マイアミ、香港、シンガポール、アブダビ、ジュネーブと世界各地に展開しており、非常に多く外国人のお客様とのミーティングを行い、国際会議などでも話すことが多く、なんとか英語を使いこなしているように見えますが、実は仕事以外の英語は今でも苦戦しています。ただ、自分が鈍感であったことであまり悩まずにいろいろな困難に対処できたことと、外国人のもつ文化や宗教、風習、歴史などをリスペクトを持って接することができたことで、外国でもなんとかサバイバルしてこれたのだと思います。

2025年ロンドン自然史博物館にて、キャプラ創立20周年のイベントの様子。

毎年、滝高生の海外教育旅行(ロンドン研修)の受け入れをしていただき、ありがとうございます。留学する生徒たちに学んでほしいこと、何でしょうか?
 まずは外国を旅する喜び、異文化と交流する楽しさを体得してほしい。新しい景色や食べ物、人との出会いは自分の世界を広げてくれます。慣れない環境に挑戦することで成長を実感でき、帰国後も思い出や学びが人生を豊かにしてくれる貴重な経験です。その経験は、将来の選択肢にも大きな影響をもたらすはずです。University College London は世界TOP20に必ず名をのせる名門校です。カリキュラムを通じて、日本人、外国人の垣根を超えて、新しい仲間やライバルと出会い、一足先に東京を飛び越え、もっと大きな世界を垣間見てください。ロンドンで学生の皆さんとお会いできることを心待ちにしています。

滝学園時代経験しておいて将来役に立ったことはありますか?
 私は中高サッカー部に属しており、サッカー好きが昂じてイギリスで子どもたちを中心とした250人以上が所属するサッカークラブ FOOTBALL SAMURAI ACADEMY を設立しました。イギリスは世界最高峰のプレミアリーグがあるため、日本を代表するたくさんのサッカープレイヤーが海を超えてイギリスに来ます。そんな日本代表たちが皆SAMURAIに集まってきてくれます。吉田麻也、南野拓実、冨安健洋、岡崎慎司、武藤嘉紀など50人を超える日本代表が子どもたちと一緒に汗を流してくれています。こうして選手たちと仲良くなり、一緒にワールドカップで世界を回り、得難い体験を楽しんでいます。3年前から私がオーナーを務める極楽湯(名古屋でRAKU SPAをやっています。一宮にもあります。)をメインスポンサーとして、日本プロサッカー選手会の年会最優秀選手アワードも始めました。今はJ1アビスパ福岡の名誉会長兼オーナーとして日本のサッカー躍進を夢見ています。こうした日本を代表するトッププレイヤーとの身近な交友なんて、サッカー部に所属しなければ、こうした楽しみを味わえなかったと思います。現在のサッカー部顧問である上村晋平先生とも彼の名古屋グランパス時代の友人である吉田麻也選手を通じてつながり、2年前になんと、高校サッカー部を引き連れ、ロンドン遠征に来てくれました。サッカーとの出会いを与えてくれた当時の顧問であった井上邦雄先生、野田明彦先生、安藤恒敏先生にとても感謝しています!

座右の銘は。
You’ll Never Walk Alone!
君は決して一人ではない。

 英国の世界トップクラスの規模を誇るリバプールFCのスローガンとして広く知られている世界で最も有名なサッカーアンセムの一つです。どんな困難な時でもファンとチームが一体となって戦う姿勢や連帯、希望を意味しています。
 CAPULAを設立し、独立を決めた2005年の5月、資金集めのため、スイスのチューリッヒで投資家訪問をしていました。厳しい指摘を受け、なかなか大口顧客獲得が進まないジレンマとの戦いでした。落ち込んでホテルに戻り、TVをつけると、リバプールがイタリアの強豪ACミランと欧州最高峰の戦いであるチャンピオンリーグの決勝戦を戦っていました。前半を0-3のビハインドで折り返しながらも、後半に同点に追いつき、PK戦の末に劇的な逆転優勝を果たしました。イスタンブールの奇跡と語り継がれている有名な激闘でした。この奇跡の優勝の際にすべてのリバプール関係者、ファンがYou’ll Never Walk Aloneを大合唱する姿に魅了され、自分の会社もチーム全員で一体となり戦い抜こう、僕にはこんなにも優秀な仲間たちがいる。必ず皆で成し遂げて見せると強く強く鼓舞されました。今でも厳しく、つらい時にはこのアンセムを思い浮かべることで前に進む勇気をもらえます。

滝学園の在校生、卒業生(二十歳代の若手)に対し、今後の進路を決めていくうえ、さらには、生きていくうえでの助言がありましたら。
 今まさに、僕自身、地球と対話する旅を学びの場としています。
私は世界最大の国際会議である国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)(※5)に政府代表団の枠で毎年参加してきました。2021年は英国グラスゴー(COP26)、2022年はエジプト・シャルムエルシェイク(COP27)、2023年はUAEドバイ(COP28)、そして2024年はアゼルバイジャン・バクー(COP29)で開催されました。
 COP26からCOP29では、パリ協定の進捗評価、再エネ推進、気候資金拡充、炭素市場整備が議論され、エネルギー安全保障のエゴのぶつかり合いや産油国の巻き返しが交錯する中、実効性と公平性が問われてきました。国連を中心に世界各国の政府、企業、市民が集い、地球の未来を語り合うこの場は、人類の知性と欲望が交差する劇場でもあります。
金融の世界で働いてきた私にとって、気候変動は単なる「ESG」(※6)ではなくなっています。経済・社会の根幹に関わる本質的テーマとなりました。この経験を契機に教授として大阪大学大学院国際公共政策研究科で教授として教壇に立つようになりました。学生たちに国際交渉の現実と理想のギャップをどう伝えるか、自らにも問い続けています。
COP30の開催地ブラジル・ベレンはアマゾン川流域のただ中にあります。自然の力を前に、人類は謙虚でいられるのか。会議の場がその問いにどう向き合うのかを見届けたい。
そして近い将来、滝の卒業生が大阪大学法学部もしくは大学院に進み、ESGを学んで、私の授業を取ってくれたらこれほど嬉しいことはありません。

※1 レバレッジ(英:Leverage)
少ない自己資金で大きな取引や効果を生み出すための仕組みや手段を意味します。
借り入れを利用することで、自己資金のリターン(収益)を高める効果が期待できることを指します。もともとは「てこの原理」の意味で、小さな力で大きなものを動かすという仕組みに由来しています。

※2 ダウンサイドコントロール
ダウンサイドコントロールは、投資における資産の価値が下落するリスクを管理し、損失を最小限に抑えるための手法です。
ダウンサイドコントロールは、単に資産の下落を抑制するだけでなく、投資家の行動にも大きな影響を与えます。過去の暴落を経験すると、投資家はリスクに対して過敏になり、合理的な判断が難しくなることがあります。したがって、ダウンサイドリスクを理解し、適切に管理することは、長期的な投資パフォーマンスを向上させるために不可欠です。
金融用語としてのダウンサイドは、正しくは「ダウンサイドリスク」として表記します。「下振れリスク」「下方リスク」ともいいます。

※3 リーマンショック
和製英語。2008年9月15日に起きたアメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ・ホールディングス」の経営破綻がきっかけで、世界金融危機と不況に発展した現象のことです。発端はアメリカで住宅バブル崩壊があり、信用力の低い個人向けの住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きが進み、サブプライムローンを束ねた証券化商品が大幅に値下がりし、その証券を大量保有していたリーマンの資金繰りが行き詰まった。その時、巨大金融機関への救済措置が取られなかったため金融市場に不安が広がり、世界連鎖的な信用収縮による金融危機を招いた。

※4 トランプ関税
トランプ政権下で導入された一連の関税措置であり、主にアメリカの貿易赤字を是正することを目的としており、特定の国からの輸入品に対して高い関税を課す政策です。

※5 COP
締約国会議(英:Conference of the Parties)の略で、多くの国際条約で加盟国の最高決定機関として設置されています。COPは、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の締約を交わした国と地域が出席する会議です。UNFCCCは、1992年に採択され、1994年に発効した条約です。二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスの濃度を安定化することを目的とし、この条約に基づいて1995年から毎年COPが開催されています。このCOPは、2023年11月現在198か国・機関が参加する気候変動に関する最大の国際会議であり、毎年開催されています。
COPには、各国の政府、学者、NGO、ビジネスリーダーなど、さまざまなステークホルダーが参加し、多様なテーマに関するイベントやセッションが行われ、気候変動に関する最新の情報が交換され、議論が行われます。

※6 ESG
ESG(読み方:イーエスジー)とは、環境(英:environment)、社会(英:social)、がバナンス・企業統治(英:governance)の3つの要素を重視する経営方法です。企業が目先の利益だけでなく、環境や社会への配慮、健全な管理体制の構築を通じて、持続可能な発展を目指す経営をする考え方のことです。

[プロフィール]
浅井 将雄(あさい まさお)
キャプラ・インベストメント・マネジメント 共同創業者

1966年8月 愛知県一宮市生まれ
1985年3月 滝高校卒業
1990年3月 慶應義塾大学商学部卒業
1990年4月 東海銀行入行
2003年9月 ロンドン赴任、UFJ銀行現地法人・UFJインターナショナル・戦略トレーディング
部長
2004年3月 UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)を退職
2005年5月 Capula Investment Management 英国にてYan Huo(ヤン・フー)氏と共同創業
Capula Investment Management LLP Co Founding Partner (現任)
2024年4月 大阪大学大学院国際公共政策研究科 ESG研究教育センター教授(ビジネス
連携担当)(現任)

※プロフィールは、取材日(2026年6月12日)時点の内容を記載しています。