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滝学園同窓会オフィシャルサイト

活躍する同窓生に学ぶ:小川 淳氏(冨島・小川・森法律事務所 弁護士)

活躍する同窓生に学ぶ:小川 淳氏(冨島・小川・森法律事務所 弁護士)

「人と対面して折衝するような仕事がいい」

冨島・小川・森法律事務所 弁護士 小川 淳(昭和54年卒)
2023年度日本弁護士連合会副会長・愛知県弁護士会会長

弁護士になろうと思ったきっかけは
 早稲田大学の政経学部(政治学科)を5年で卒業しました。新聞記者を志望していたものの迷いがあり逡巡していたなか、大学時代の空手サークルの信頼する仲間から、「小川は弁護士に向いている」と言われ、それを機に卒業後、司法試験に向け勉強を始めました。
 当時の司法試験の合格率は2%未満、日本最難関の試験でした。法学部ではなく、法律の勉強もゼロからのスタートでしたが、「弁護士ならば自分の力を最大限発揮できるのでは・・・」との信念のもと、独学でしたがほぼ3年半で合格をしました。
人生のなかでも最も集中して机に向かった時期でした。法律家として、「社会的弱者を助けたい」、「社会正義を実現した」などの確たる信念を抱いてわけではありませんが、「力を最大限出せる仕事に就きたい」という点に関しては、強いこだわりがありました。当時の記憶は今でも鮮明です。懐かしいですね。

 滝高校時代、授業は二の次で、興味を持ったテーマに関する本(岩波新書、岩波文庫等)を手当たりしだい読みました。滝高校には特待生として入り、授業をリードすべき立場にありましたが、トップダウンで課題が課せられる方式には個人的にはなじめませんでした。
それでも、大野先生の政治経済の授業はおもしろく熱心に聞きました。時事問題に興味もつようになり、進学を早稲田大学政経1本と決めたのも授業の影響が大でした。大野先生のレジメが秀逸で、政経の模擬テストではほぼ全国でトップ、早稲田の政経受験にも役立ちました。
 早稲田大学では空手を始め一心不乱に取り組みました。授業をないがしろにしたため、1年次に留年という恥ずかしい結果を残しましたが、大学時代は、多くの人との出会い、語り、そして意識的に取り組んだ多読はいま仕事をする上での大きな力になっています。27歳で司法試験に合格し、2年間の実務研修を経て、1990年、29歳で現在の事務所に入りました。

弁護士としてどんな分野をご担当されましたか
 民事では、離婚、相続、労働、医療過誤、会社紛争等いろいろの分野の仕事をしてきました。刑事事件もやりますね。顧問の関係から、損害賠償にからむ案件、交通事故、火災、学校事故、PL訴訟などの少なくないです。近時では、知的財産、著作権に対するアドバイスを求められることも多くなりました。
仕事の進め方についても変化があり、いまは解決までのスピーディさが求められます。人々の権利意識も以前に比べ高くなってきています。それだけに依頼者に対し、速やかに成果をしっかり説明する力が求められています。

弁護士として心掛けていることは
 依頼者にとってベスト、あるいはそれに近い解決をしなければいけないということです。訴訟であれば、勝訴を勝ちとること、和解であれば依頼者の考えや希望を可能な限りそこに反映させることを常に心がけています。それは弁護士としての責務であり、そこの意識をしっかりもたないと弁護士としての成長はないと考えています。加えてフェアな姿勢、結果に至るまでの過程、やり方も大切ですね。

弁護士としてやりがいを感じるときはどんな時でしょうか
 依頼者にとってベストな解決を導き出すには、法律の知識だけでは足りません。法律以外の様々な知識、正確な発想が必要です。
身近な交通事故訴訟を例にすると、脳障害が本当に事故によるものか判断が求められます。脳の画像データを的確に読み取れる医学的知識も必要です。訴訟内容によって、機械工学、物理学、金融工学、統計学などの知識も必要となります。電気機器の製造物責任訴訟では、電気回路、配線工事の勉強もしましたね。そいった法律以外の勉強をし、仕事に生かすこと、これも弁護士のおもしろさのひとつだと思っています。一定程度の知識をマスターすることは確かに大変ですが、幸いにも自分の持ち前のひとつに「集中力」があり、いったん集中すると何時間も机に向かっていられます。こういった知識を得るのに大いに役立ちました。

愛知県弁護士会会長のお仕事は何でしょうか
 今年、愛知県弁護士会の会長を務め、日本弁護士連合会(日弁連)の副会長も兼任しています。日弁連の仕事の比重も高く、やらなければいけないことが多くあります。
弁護士会では法曹志願者を増やすこと、特に女性の志願者増加が重要な課題の一つになっています。女性弁護士が増えなければ、社会問題の多様性に対応できません。職業としての法律家のおもしろさ、やりがいをアピールしていきたいと考えています。
また、弁護士会の存在、活動を広く社会に理解してもらうための広報活動にも力を入れます。同時に、再審法改正への取組、自殺、働く人の権利、DV、貧困、犯罪被害者などの問題への取組をより充実させていきたいと考えています。

趣味は何でしょうか
 4年前、三半規管の病気をしてからゴルフは敬遠していますが、以前はよくやっていました。YouTubeで格闘技をよく見ますね。空手をやっていたこともあって格闘技は大好きです。今でも時折、突き、蹴り、型の練習をしています。大学の頃依頼、本をかなり読みますね。政治経済、哲学、物理、数学、歴史など分野は問いません。かなりの多読をいまだに続けています。

座右の銘は
「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め。」
佐久間象山、吉田松陰ら幕末維新のリーダーたちの根本思想になった佐藤一斎「言志四録」の中の一節です。人生でも仕事においても、ゴールの見えない暗闇をすすむときはある。そんな時、「一燈」となるもの、言い換えれば、理念、信条、ビジョンを持っているのかを強く問うものです。しっかりとした志をもって自分を信じていけば、暗闇を通り抜け、明るい未来が待っていると、自分なりにこの言葉を受けとめています。

滝学園の在校生、卒業生に助言がありましたら
 滝学園の皆さんには、強い志を抱き、それに突き進む気概をもってほしい。「半ばは自分の幸せを、半ばは他人の幸せを」。これは少林寺拳法の開祖である宗道臣の言葉です。目標を立て自分を育てることは自分の幸福につながりますが、それだけではなく、育んだ自分の力を他人や社会のために役立てる、そうした人に育ってほしいと思います。
そのためには、学校の情報だけに満足せず、自分の関心をもったものを大切にしてください。「他人の意見ではなく、自分の中の声に耳を澄ませなさい。そして、最も大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです」これは、スティーブ・ジョブス、アップル創業者の言葉です。
今、法曹を志望する人が少なくなっています。少しでも多くの人が法曹界に関心をもち、私たちの仲間になることを願っています。必要ならば声をかけてください。皆さんと語ることができる機会をつくります。

[プロフィール]
小川 淳(おがわ じゅん)
弁護士
2023年度日本弁護士連合会副会長・愛知県弁護士会会長

1960年8月生
1987年10月 司法試験合格
1990年4月 名古屋弁護士会(現愛知県弁護士会)登録
冨島法律事務所(現冨島・小川・森法律事務所)入所(現任)
2005年4月 愛知県弁護士会副会長
2006年4月 名古屋家庭裁判所一宮支部調停委員(現任)
2008年4月 愛知県弁護士会人権擁護委員会委員長
2021年4月 愛知県弁護士会会報編集委員会委員長
2021年6月 株式会社ユー・エス・エス監査役(現任)
2023年4月 日本弁護士連合会副会長・愛知県弁護士会会長(現任)

※プロフィールは、取材日(2023年5月1日)時点の内容を記載しています。

小川淳弁護士と大西同窓会長(冨島・小川・森法律事務所にて)