
“Change as Chance”(チェンジ・アズ・チャンス)
~リユース事業でSDG’sの循環型流通業を目指す~
株式会社ゲオホールディングス
代表取締役社長 遠藤 結蔵(平成8年卒)
株式会社ゲオホールディングス
https://www.geonet.co.jp/
名古屋市中区に本社を構え、2nd STREET、GEO mobile、GEOなどを手がけ循環型流通業を標榜する株式会社ゲオホールディングスの代表取締役社長 遠藤結蔵さんにお話を伺います。
「ゲオホールディングス」ってどんな会社ですか。
ゲオが掲げている理念は「豊かで楽しい日常の暮らしを提供する」です。これを実現するために、リユース・モバイル・レンタルの三本柱で事業を展開しています。最初に始めたのはレンタル事業です。ゲオショップでゲーム、CD、本、DVDなど著作権のあるパッケージソフトをレンタル、売買するものです。家の中で楽しむ、遊ぶソフトを安価で提供することで、ゲオの理念を実現させています。リユース事業のセカンドストリートの目指すところも同じです。本来タンスの中で眠っていた服がセカンドストリートに売れば、それは誰かの暮らしの新しい選択肢となります。買うお客様も多くの選択肢の中から自分の好きなスタイルの服を選ぶことができ、暮らしに潤いと楽しさを与えてくれます。セカンドストリートが人々の日常の暮らしをより豊かにするお手伝いをしているのです。
小さなレンタルビデオ屋さんから始まったゲオグループですが、今では全国に2,000を超える店舗ネットワークを確立するまでになりました。
滝学園時代、どんな生徒でしたか。強く印象に残る先生や出来事はありますか。
私は滝高校から入った、いわゆる“外普”でした。小牧の中学校から公立高校にいきたかったのですが、内申点があまりに低すぎて、優秀な公立高校にはとてもいけない。それなら、私立高校にいって、良い大学を目指そうと滝高校に入ったのです。滝高校での私は、ひとことで言えば“問題児”でしたね。素行が悪いとか不登校とかいう問題児とはちょっと違っていました。滝高校に入ってみて、滝が理系の高校で優秀なひとばかりいることにまず衝撃を受けました。文系の私は、ここでは普通に頑張っても、国立の一橋大学や東京大学にはいけないなと。それなら私立文系に絞って勉強をしようと、1年生の早々に数学と理科の勉強をやめたのです。問題児というのはそういうことです。先生にしてみれば、大問題の生徒ですよね。それを担任だった兵頭清治先生が3年生まであげてくれたのです。先生には感謝してもしきれません。先生がいなければ今の自分はいないと思っています。
滝高校に入ってよかったのは、塾に行く必要がなかったことですね。先生たちがこれだけやっていれば大丈夫だという内容で教えてくれたのです。3年生になって、私立文系を目指すクラスにはいって、東京に行きたかったので、早稲田、慶応を目指しました。何より完全に数学、理科から解放された気分は最高でした。受験勉強のおともに、落語を聞いていたほど落語が大好きで。父親の影響ですが。大学では落語研究会に入ろうと思っていました。その落研が慶応にはなかったのです。それが早稲田に決めた大きな理由です。
大学時代はどんな学生生活を送られましたか。部活動はされましたか。
大学に入ってすぐに落語研究会にはいりました。落語家になるというより、落語を聞く、楽しむ専門
でした。塾の講師のバイトをして、お金をためては落語を聞きに回っていました。小さい塾でしたが、小学生から高校生が次から次と入ってきて、結構忙しく教えていたので、バイト代はよかったです。それを落語が主ですが、演芸・芸能系を見に行くのに使っていました。
早稲田は自由でちょっと緩い感じが好きでしたね。出席しなくてもテストさえ受ければ単位をくれましたし、私は卒論も書きませんでした。その分単位を取れば卒業できるのです。政治経済学部でしたが、政治や経済について誰かと真剣に語り合うこともなく、ほぼ、バイトと落語で占められた学生生活でしたね。浮いた話もなかったですが、それなりに東京生活を楽しみました。
創業者一族としてお生まれになった遠藤さんは 、事業承継についてはどう考えていましたか。いつ頃跡を継ごうと一番大きな決断をされましたか。創業者のお父様が2004年6月に交通事故で急逝されましたが、その時何を考えられましたか。
大学3年生、就活について考えるようになったとき、父親の事業について考えるようになりました。そのころに父親から、「社長になる気があるのなら入れ。なる気がないんなら来るな」とはっきり言われました。そこまではっきり言われたことで、すっきりし、少しは考えましたが、これは自分だけに与えられたチャンスじゃないかと、父親の会社に入ることを決めました。
入社当時はまだビデオレンタルが主力事業でした。ただ、父親はレンタル事業が縮小していくものと考えていて、リサイクルショップなども手掛けていました。ゲオショップを始める際に自社で開発した、ものを売買レンタルできる基幹システムがリユース事業にも使えると分かっていたので、父親はDVDやゲームだけでなく、ひろくリユース事業にシフトしていく意向を持っていたようです。私ももっと広くリサイクルショップをやればいいのではと考えていました。そんな時、父親が交通事故で急逝。本当に突然でした。会社の方向性は父親も私も同じ考えでしたので、それが揺らぐことはなかったのですが、何しろカリスマ的な存在だったので、正直、どうしていったらいいのかと思いましたね。
2011年11月に社長に就任されましたが、価値あるものを循環させ、暮らしに多様な選択肢を創造されてきて、やりがいを感じるときはどんな時でしょう。また、 おもしろさを感じたことは。
入社したばかりの頃、ゲオショップの店頭に立ってお客様とお話したことが忘れられません。普段から来ていただいて、顔見知りになったお客様が「ありがとう」と言ってくださった。その時の喜びが私の一つの原点だと思っています。お客様の身近な暮らしに少しの豊かさを与えられたという喜びですね。そんな時、やりがいを感じます。この商売をやっていてよかったと。社員のみなさんにもお客様の娯楽や日々の生活を支えているのだという思いを持って、お客様の喜ぶ顔を見ることをやりがいにしてほしいと思っています。
我々の主業のリユース事業はものを生み出す喜びというのはないのですが、ものが使える限り使えればおもしろいんじゃないかというところに意義を感じています。使える限り使う、それを一人だけでするのではなく、多くの人がかかわって使っていくというところですね。リユース事業はごみを出さないところで環境に配慮するというSDG’sの理念の浸透によっても伸びてきました。新品を買って捨てるという価値観から、多くの人の手に渡り使われ続ける循環型社会という価値観への変化も後押ししてくれました。我々の事業が環境問題に少しは貢献しているんだというところがおもしろいですね。
今まで体験されたことで、忘れられないことは何ですか。
突然の父親の死は衝撃でしたね。病気もしたことがなかった元気な人が急にいなくなる。1ミリも考えていなかったことが、目の前に突き付けられると人は何もできないんだなと感じましたね。父親の死の衝撃と同じくらいの衝撃を受けたのが、滝高校に入ってからのことですね。田舎の中学校でそれなりの成績だった自分が、滝に入って最初のテストの結果を知らされたときです。こんなにも優秀なひとがいっぱいいるなんて、という衝撃です。そんなこと大したことないと思われるかもしれませんが、当時の私にとっては、天地を揺るがすほどの衝撃だったのです。ただ、この衝撃を受けたことで、自分の進む方向、自分が生きていく方法をみつけなければいけないと考えるようになったことは確かです。その一つが、数学と理科を捨てるということだったのです。
創業40周年を迎え、今年10月「セカンドリテイリング」に社名変更を予定していらっしゃいます。今後、目指される方向は?
ゲオホールディングスをセカンドリテイリングに社名変更します。若い人の中で、ゲオってなに、セカンドストリートなら知っているのだけど、という子たちの割合がどんどん増えている。新卒募集にしても、学生のなじみはゲオよりセカンドストリートで、セカンドストリートをやっている会社だということが分かったら応募してくるということも珍しくありません。現在の主力のリユース事業の流通形態は二次流通です。メーカー等が製造、販売した製品が一次流通で消費者の手に渡った後、中古品として再び市場で売買される流通形態が二次流通です。いわばセカンダリーの商売です。ですので、社名にそれをいれようと、創業40年を機に社名を変えます。そのような意味合いがこの社名に含まれています。
セカンドストリートは洋服、バッグ、靴などのファッションアイテムを中心に、家具、家電、生活雑貨まで幅広い商材を取り扱い、2025年9月現在、全国に900以上の実店舗を構えるまでになりました。郊外型の店舗から首都圏、駅前立地への出店も増えてきており、2029年3月期には1,000店舗まで増やします。社員のみんなには、10年後には倍の規模にしようと言っています。この倍の規模というのは、もちろん海外戦略も含めてです。海外にはアメリカ、タイ、台湾など5か国に進出しています。特にアメリカでは2025年9月現在、51店舗までになっています。アメリカは従来、寄付を商材調達とするリユースショップが主だったのが、買取、販売型のリユースショップにどんどん変わっています。マーケットとしての大きな可能性があると思っていて、2030年3月までに100店舗を達成したいと考えています。マーケットの可能性とともに、リユース事業をこれほどの規模感で展開している企業が世界にはいないということが、セカンドストリートの未来を明るいものしていると思っています。リユースを通じて、まずは日本からそして世界へと飛躍することを目指していきたいですね。
趣味は何でしょうか。何か今はまっていることはありますか。
学生時代、夢中になっていた落語ですが、今はほとんど聞いていません。好きな落語家が年をとったり、亡くなったりしたからです。若手の落語家に目を向ければいいのですが、なぜかちょっと違うなと感じていて、落語からは遠ざかっています。旅行は好きですね。仕事柄、出張が多く、それも地方が多い。現地に着いてからは車を借りますが、そこまでは鉄道を利用します。鉄道に乗るのが好きなのです。乗り鉄とまではいきませんが、学生時代は青春18きっぷを買って鉄道旅を楽しんでいました。
B級グルメが大好きで、出張で地方に行く際にも、その地のB級グルメを調べていきます。ご当地グルメとして地域活性化にも貢献している名物料理を探していくのが楽しいのです。食べることが好きで、今はまっているのが“ガチ中華”です。中国人向けに中国人が調理する中華料理の店です。日本人向けに味をアレンジせず、本場中国の味をそのまま提供してくれる店で、店内の異国情緒あふれる雰囲気も好きですね。

座右の銘は。
座右の銘といえるかどうか分からないですが、私が大事にしている言葉があります。
“Change as Chance”(チェンジ・アズ・チャンス)
創業者がよく言っていた言葉で、弊社の行動指針でもある言葉です。変化の中にこそチャンスがある。変化することを恐れるな。要するに時代の流れをしっかりつかみ、フットワーク軽く、柔軟に対応していくことが大事だと。
大事にしている言葉以上にわが社が本当に大事にしているものがあります。ゲオショップを始めたときに開発したものを売り買いする基幹システムです。「売る」「買う」「レンタルする」という業務を一元的に管理・運用できる仕組みですね。ゲオショップでは、そのシステムにDVD、本、CDなどを乗せて、売買、レンタルをしました。このシステムに服、雑貨、家具などを乗せて商売できたのがセカンドストリートです。創業者が「変化を恐れるな」ということができたのもこのシステムがあったからこそだと思っています。そして、このシステムのおかげで、ここまで店舗、業務拡大ができたとも思っています。まさしくこのシステムはわが社の宝です。
滝学園の在校生、卒業生(二十歳代の若手)に対し、今後の進路を決めていくうえ、さらには、生きていくうえでの助言がありましたら。
自分で選べば後悔はしない。自分がこうしようと決めたことは、それが良い悪いは別にしても自分にはプラスになっていくもの、と考えることは物事を進める上では大事なことかと思っています。自分がこうと決めたんだから、絶対にうまくいく。楽観的ともいえるこの考え方はあってもいいと思っています。ただ、この決定は、検討に検討を重ねた結果出したものでなくてはいけません。悩んで悩んで出した答えは絶対に間違っていないという自信と気概をもって前に進んでいってほしいですね。

[プロフィール]
遠藤 結蔵(えんどう ゆうぞう)
株式会社ゲオホールディングス 代表取締役社長執行役員
1978年1月 愛知県小牧市生まれ
1996年3月 滝高等学校卒業
2000年3月 早稲田大学政治経済学部卒業
2000年11月 株式会社ゲオ入社
2004年6月 同社 取締役社長室副室長に就任
2011年11月 持ち株会社制に移行し、社名を「株式会社ゲオホールディングス」に変更
同社 代表取締役社長
2013年4月 株式会社ゲオホールディングス 代表取締役社長兼執行役員
2019年4月 同社 代表取締役社長執行役員(現任)
※プロフィールは、取材日(2026年1月20日)時点の内容を記載しています。