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活躍する同窓生に学ぶ:井上憲司氏(ユニクロ・インドCFO兼COO)

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活躍する同窓生に学ぶ:井上憲司氏(ユニクロ・インドCFO兼COO)


「人間万事塞翁が馬」
~スポーツを通してグローバルに~

株式会社ユニクロ
ユニクロ・インドCFO兼COO
井上 憲司(平成13年卒)

株式会社 ファーストリテイリング
https://www.fastretailing.com/jp/


株式会社ユニクロ
https://www.uniqlo.com/jp/


日本「発」のグローバル企業・ユニクロが、今夏インドのシリコンバレーともいわれるベンガルールに出店をしました。インドは人口14億人を抱える巨大市場であり、その現場で奮闘されている井上憲司さんにお話を伺います。

現在、ユニクロ・インドでは、どんなお仕事をされていますか?
また、どんなきっかけでこのお仕事に就かれたのか、お聞かせください。

 インド事業の現地責任者を務めています。基本的には事業の全ての責任を担っており、成長戦略から日々の意思決定や事業運営をやっております。どの商品を売り、どのように売るか、どのような生産拠点・物流網・出店網を展開するか、ブランド認知度向上や商品特性をどうお客様にマーケティング活動を通じて伝えていくか、どのような売場プレゼンテーションをするか、本部や店舗での従業員の採用や育成、組織作りなどなど、やるべきことは多岐に亘ります。
 私は元々帰国子女で滝中学に中学2年生で編入するまでは米国に住んでおりました。そのような経験から、日本で誇れるものをグローバル展開し世界のギャップを埋めることで世の中に価値提供したいと考えて商社に就職し、その後ユニクロに転職し、まさにそれをやっている最中という感じです。

最初就職される時、どんなきっかけで住友商事を目指されたのでしょうか。
 父親や姉(滝高卒)が商社に勤めており、私の性格にも合った業界だとアドバイスしてくれていたので、商社を目指すことは自然な流れでした。世界中を飛び回り、語学力を活かす仕事に就けたら良いと思っておりました。

いつ頃からグローバルな仕事をしようと考えられましたか。
 実は中学2年で帰国してから就職するまで、英語を話すことはほぼありませんでした。大学の部活を引退し数カ国をバックパッカーで放浪し、就職活動をする中で、自分の経験や能力を活かす仕事、世界のギャップを埋めたいというモチベーションが芽生え、グローバル企業を意識するようになりました。

グローバルに仕事をする際、文化的なこと、宗教的なこと風習・習慣等を知らないと大変困ることがあると思います。どのようなことを学べば、対処できるのでしょうか。グローバルに活躍しようとすると、人との繋がりが大切で、人の繋がりを活かすことが求められると思います。どのようなことに気を付けられていますでしょうか?
 今まで6カ国(日本、アメリカ、インド、オランダ、イギリス、アイルランド)で生活してきましたが、夫々の文化風習特徴があります。現地で生活や仕事をする上では適応能力が当然求められます。まずは何よりも現地の方々とよく話をし、信頼関係を構築し、現地を好きになることが重要です。同時に、私は日本人であり、且つ多くの国で生活してきたというIdentityや強みもあるので、それを活用することで現地に適応するだけではなく、現地の発展にも貢献していくことが求められます。
 グローバルで生活や仕事をする上で私にとって最も役立っているのは、実はスポーツです。私は幼少期から根っからの運動好きで、滝中から社会人実業団に至るまでバスケに熱中し、その後トライアスロン、今はテニスをやっています。どの国に行っても、その地のローカルチームや大会に参加し、現地の方々と真剣に戦います(笑)。オランダは世界一身長が高く、バスケチームで身長2メートル以上がチームに3名いました。インドは暑く大気汚染もありますが自宅アパートにテニスコートがあり、様々な国籍の方々と日々練習や試合しています。このようにスポーツを通じて現地の方々と交流をすることが、どの地に行っても公私を充実させますし、現地人からの信頼を得ているように思います。

やりがいを感じる時は? 特に記憶に残ることは? 
 やはりチームで一生懸命取り組み、何かを達成し、それが社会や地域に喜ばれたときにやりがいを感じますね。ユニクロの新店舗を開ける時には感極まります。新規国、新都市、新地域に進出し出店することは長期間に渡るプロジェクトで本当に大変で、オープン初日にお客様に来ていただけるかハラハラドキドキという状況なのですが、結果的に多くのお客様にお越しいただき、喜んでいただく姿を見ると、またみんなで頑張ろうという気持ちになります。

ディワリ・インド現地スタッフと

ワークライフバランスはどのようにされていますか。
 あまり意識したことはないですが、ワークインライフ、ライフインワーク、という感じで融合しているような生活だと思います。平日や週末関わらず、テニス、愛犬の散歩は日課ですし、週末の隙間時間に仕事もします。一方で、疲弊すると周囲に迷惑をかける為、無理はしないようにしています。チームを率いる立場として、常にエネルギッシュで前向きであることを心がけています。

滝学園時代、どんな生徒でしたか。
 非常に生活態度が悪く、身だしなみも要注意?の生徒でしたね。頻繁に注意・呼び出しを受け、停学にもなった記憶があります。中学時代から髪を染め、ピアスもしていました。一方で、部活はバスケ部キャプテンとして真面目に取り組み、尾張地区では3連覇をしましたし、生徒会長もやりました。記憶に残るのはやはりバスケ部時代の浅野進先生、恒川知紀先生、坂野貴宏先生、上田欣人先生でしょうか。特に浅野先生や坂野先生の練習はかなり厳しかった分(時には理不尽に厳しく)、チームの結束が強まったと思います。忘れられない思い出としては、高校1年か2年の時に県大会を掛けた大会の重要局面でシュートを外し負けてしまい、その後、ずっとロッカーで号泣したことです。浅野監督時代は強豪で県大会を逃したことがほぼ無かったので、本当に悔しく申し訳ない気持ちで一杯でした。その直後に代替わりで若い恒川先生が監督に切り替わり、一緒にチームを切り盛りし、勝てたのは良い思い出です。はい、全然勉強はしませんでした。

関西学院大学時代は、どんな生活でしたか。
 当時設立されて間もない総合政策学部に進路を進めました。大学時代は引き続き体育会バスケ部に所属し、全国からスポーツ推薦選手が集まりインカレに出るようなチームだったので、4年間週6日の活動でしたが、終始補欠で最後は怪我もしてしまい学生コーチをやりました。バイトは常時3つ掛け持ちし、生活費や車代を稼ぎ、本当に忙しかったです。
はい、大学でも全く勉強しませんでした。
でも、今振り返ると、大学4年間熱中した部活やバイト(キャディ、コンビニ、家庭教師)の経験は社会人になっても非常に生きていると思います。

趣味は何でしょうか。何か今はまっていることはありますか。
 今はテニスに熱中しており、週10時間位やっています。出張先や休暇先にもラケットを持って行き、対戦相手を見つけてリフレッシュしています。

テニスの仲間と一緒に

座右の銘は。
「人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」。浅野先生から学びました。
 このことわざは、中国・前漢時代の思想書『淮南子(えなんじ)』に収められている「人間訓(じんかんくん)」という編の故事に由来します。人生における幸福や不幸は予測がつかず、簡単に判断できるものではない、という意味です。長い人生、色々とあるので、くよくよしないようにしています。

滝学園の在校生、卒業生(二十歳代の若手)に対し、今後の進路を決めていくうえで、さらには、生きていくうえでの助言がありましたら。
 自分の人生の時間というのは有限なので、全てのことに好奇心を持って、是非、人生を大いに楽しんで欲しいと思います。社会人新人の頃「若い頃は、何でも栄養になるから積極的に挑戦した方が良いよ」と言われたことをよく思い出します。悩むこと、考えることも大事ですが、興味をもったことや挑戦したいことを行動に移してどんどん実行することにより、様々な経験や人とのつながりが生まれ、次の景色が見えてきたり、自分の考え方が変わっていきます。その過程で熱中し楽しみながら成長していくことが人生の醍醐味だと思うので、味わい深い人生を!

[プロフィール]
井上 憲司(いのうえ けんじ)
株式会社ユニクロ ユニクロ・インド CFO兼COO


1982年5月 愛知県一宮市生まれ
2001年3月 滝高校卒業
2005年3月 関西学院大学総合政策学部 卒
2005年4月 住友商事株式会社入社
      航空機リースに携わり、オランダ及びアイルランドに駐在
2014年 6月 株式会社ファーストリテイリング入社(FAST RETAILING CO., LTD.)
      株式会社ファーストリテイリング本部 購買・出店開発部
2016年6月 株式会社ユニクロ UNIQLO EUROPE CFO(最高財務責任者)着任
2021年11月 株式会社ファーストリテイリング グループ経営計画部長
2023年3月 株式会社ユニクロ ユニクロ・インド 現地事業責任者
      CFO(最高財務責任者)兼COO(最高執行責任者)

※プロフィールは、取材日(2025年10月3日)時点の内容を記載しています。